2018/06/18

福岡の民泊プレイヤー事例 03:民泊ゲストハウス

取材協力:TONAGI Hostel Cafe マネージャー 石井様

ゲストハウスを始めたきっかけとは?

若い頃から海外に遊びに行くのが好きだったのですが、アジアやヨーロッパには日本円で13000円程度の宿はたくさんあるのに対し、当時福岡にはあまりないように感じていて、これは商売になるのでは?と思ったのが事業のきっかけです。

元々私は10年以上福祉の仕事に携わっていたのですが、ちょうど会社を退職するタイミングで、兄の大学の同級生から宿泊事業をやらないかというお話をもらいました。

今では兄の同級生がこのゲストハウスのオーナー、私がマネージャーとして運営を任されています。

なぜ福岡を選ばれたのですか?

宿泊事業をやるならLCCが多く飛んでいて地価が安い地域と考えており、関西か福岡かで迷った末、福岡に落ち着きました。 スマホで地図アプリを開いて福岡を画面の中心にしてみて下さい。それから縮尺を縮めていくと気付くと思いますが、アジアの主要都市が意外なほど近いんですよね。ソウル、釜山はもちろん、台湾や上海も国内の都市部と距離は変わらないくらいです。 2016年のオープン当時は、福岡には片手に余るくらいしかゲストハウスがなく、いろいろ調査をして探しているうちに、アジアや世界に目を向ければ今の場所で商売ができそうだなと。

全く違う業界からのスタートで不安はありませんでしたか?

もちろん不安はありました。ただオーナーから初めて話を受けた時、自分でもいけるかもとは思いました。 実は当時、管理職として介護の現場で発注や請求作業を行っていたこと、またサラリーマン時代に経理業務を行っていた事もあり、オーナーに「シーツのリースって1枚いくらか」と聞かれた時、コスト面でのイメージができたのも事実。 介護施設や病院と宿泊施設では宿泊スパンは違いますが、これまでの経験から、人が出入りして暮らしていくのに掛かるコストを、お店の数字として見ることができるのではと思いました。 それに海外によく遊びに行っていたこともあり、チェックイン/アウトくらいの英語はできるかなと。

ゲストハウス名の由来を教えてください

TONAGIは「泊まる」「学ぶ」「つなぐ」を掛け合わせた造語。オーナーが木工スタジオを持つ造形作家なこともあり、せっかく建物を作るなら何か学びにつながるものにしたい想いがありました。

泊まるだけでなくワークショップもでき、地域の人とつながるきっかけとなる場所でありたいという想いが込められています。

またコストパフォーマンスが全てではないですが、価格なりの満足というものがあるのではと考えています。

例えば、ちょっと小綺麗なホステルに泊まるのに56000円払わなきゃいけないのか?というと決してそうではなく、3000円以下で作り付けのベッドがあり、安心して眠れる場所を提供していきたいと考えています。

ワークショップやイベントはどんなものがあるのですか?

自分たちで企画するものもあれば、外部の方がスペースを借りて行うケースがあります。土地柄、県庁が近くにあるので、県庁の方の新規ビジネスのPRや講演をやることも。

遠くから講演に来られる方は、その後泊まっていきますし、近くに大学もあるので、サークル合宿やイベント、自主企画ではアコースティックライブなどもあります。幅広い年齢の方が利用しています。

やはり海外からのゲストが多いですか?

年間通して全体の5割強がアジア系外国人です。韓国・台湾の1020代がメインで、西洋から来る方も含めれば7割近くが外国人です。

釜山から高速船で2h・往復1万円程で来られることもあり、ヨーロッパからユーラシア大陸を経由して、釜山から日本に渡ってくる西洋の方も結構います

また、定期的に化粧品を買いに来る韓国のゲストもいらっしゃる。近いので僕らが大阪に行くのと同じ感覚で、週末旅行感覚なんですね。

どんなことがゲストに喜ばれますか?

特別メジャーなスポットはないですが、近所の公園や古い街並みが残っているエリアなど、宿から歩いていけるところを紹介すると、思いの外喜ばれたりします。 あと1人2000円前後で食べられる安いお寿司屋さん!観光ガイドを見ると、そこそこ値段が高かったりしますからね。 コミュニケーションも盛んで、ゲスト同士が仲良くなってそのまま他所に飲みに行ったり、時にはスタッフも一緒に行くことも。 実はうちのスタッフの一人も、ゲストとして来ていた韓国ゲストと交際に発展しまして、移住と結婚を視野に退職しました。

大変だったことや苦労したことはありますか?

生活習慣の違いに戸惑ったりしますね。例えば、トイレットペーパーをトイレに“流す”のか“ゴミ箱に捨てる”のか。 トイレットペーパーが流せる仕様でない海外の方は、詰まり防止のために善意でゴミ箱に捨てています。 良かれと思ってやっているケースがあるので、そういう部分を上手く伝えることが苦労する面であり、新たな発見という面白さがありますね。

今後の目標について教えてください

一番はお店を潰さないことですね(笑)。細くとも長く続けていくことで、常にあそこにTONAGIがあり誰かが集まっているという状態にしたいです。 そのためにイベントや企画を充実させてゲストと地域の方をもっと繋げていきたいです。

これから民泊事業を始める方へメッセージ

民泊事業と旅館業は必ずしもイコールではないと思いますが、どちらも決して簡単な仕事ではないため、真剣に考え取り組んでほしいですね。 本当に大変なのは「できるまで」ではなく「できてから」。 ゲストハウスのコンセプトや情熱はもちろん必要ですが、お金の話や自分たちができる作業量など現実的なところも視野に入れて進める必要があります。 現実を見つめる冷静さとコンセプトを追い求める情熱の両立が大切です。困ったときはできる限りのアドバイスはしますので、一緒に頑張りましょう。 <TONAGI Hostel Cafe概要> 住所: 福岡県福岡市博多区千代4-4-16 営業時間: CHECK-IN:15:00~22:30 CHECK-OUT:~10:00 Cafe:8:00~23:00(日曜のみ~20:00)

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