ゲストハウスを始めたきっかけとは?
若い頃から海外に遊びに行くのが好きだったのですが、アジアやヨーロッパには日本円で1泊3000円程度の宿はたくさんあるのに対し、当時福岡にはあまりないように感じていて、これは商売になるのでは?と思ったのが事業のきっかけです。
元々私は10年以上福祉の仕事に携わっていたのですが、ちょうど会社を退職するタイミングで、兄の大学の同級生から宿泊事業をやらないかというお話をもらいました。
今では兄の同級生がこのゲストハウスのオーナー、私がマネージャーとして運営を任されています。
なぜ福岡を選ばれたのですか?
宿泊事業をやるならLCCが多く飛んでいて地価が安い地域と考えており、関西か福岡かで迷った末、福岡に落ち着きました。 スマホで地図アプリを開いて福岡を画面の中心にしてみて下さい。それから縮尺を縮めていくと気付くと思いますが、アジアの主要都市が意外なほど近いんですよね。ソウル、釜山はもちろん、台湾や上海も国内の都市部と距離は変わらないくらいです。 2016年のオープン当時は、福岡には片手に余るくらいしかゲストハウスがなく、いろいろ調査をして探しているうちに、アジアや世界に目を向ければ今の場所で商売ができそうだなと。全く違う業界からのスタートで不安はありませんでしたか?
もちろん不安はありました。ただオーナーから初めて話を受けた時、自分でもいけるかもとは思いました。 実は当時、管理職として介護の現場で発注や請求作業を行っていたこと、またサラリーマン時代に経理業務を行っていた事もあり、オーナーに「シーツのリースって1枚いくらか」と聞かれた時、コスト面でのイメージができたのも事実。 介護施設や病院と宿泊施設では宿泊スパンは違いますが、これまでの経験から、人が出入りして暮らしていくのに掛かるコストを、お店の数字として見ることができるのではと思いました。 それに海外によく遊びに行っていたこともあり、チェックイン/アウトくらいの英語はできるかなと。ゲストハウス名の由来を教えてください
TONAGIは「泊まる」「学ぶ」「つなぐ」を掛け合わせた造語。オーナーが木工スタジオを持つ造形作家なこともあり、せっかく建物を作るなら何か学びにつながるものにしたい想いがありました。
泊まるだけでなくワークショップもでき、地域の人とつながるきっかけとなる場所でありたいという想いが込められています。
またコストパフォーマンスが全てではないですが、価格なりの満足というものがあるのではと考えています。
例えば、ちょっと小綺麗なホステルに泊まるのに5~6000円払わなきゃいけないのか?というと決してそうではなく、3000円以下で作り付けのベッドがあり、安心して眠れる場所を提供していきたいと考えています。
ワークショップやイベントはどんなものがあるのですか?
自分たちで企画するものもあれば、外部の方がスペースを借りて行うケースがあります。土地柄、県庁が近くにあるので、県庁の方の新規ビジネスのPRや講演をやることも。
遠くから講演に来られる方は、その後泊まっていきますし、近くに大学もあるので、サークル合宿やイベント、自主企画ではアコースティックライブなどもあります。幅広い年齢の方が利用しています。
やはり海外からのゲストが多いですか?
年間通して全体の5割強がアジア系外国人です。韓国・台湾の10~20代がメインで、西洋から来る方も含めれば7割近くが外国人です。
釜山から高速船で2h・往復1万円程で来られることもあり、ヨーロッパからユーラシア大陸を経由して、釜山から日本に渡ってくる西洋の方も結構います。
また、定期的に化粧品を買いに来る韓国のゲストもいらっしゃる。近いので僕らが大阪に行くのと同じ感覚で、週末旅行感覚なんですね。