2018/10/24

京都の民泊プレイヤー事例 05:京町家運営代行

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

取材協力:株式会社トマルバ 取締役 山田様

事業をスタートしたきっかけを教えてください

以前は都内で50室ほど民泊運営をしていましたが、代表の芦野が京町家に惚れ込んだことや、今後の事業の可能性、またこれまでのノウハウを活かせると考え事業を売却。
2017年3月より京都に拠点を移し、イチから役員2人だけで京町家の運営事業を立ち上げました。
現在は京町家をリノベーションした当社がプロデュースする「宿ルKYOTO」シリーズのほか、40軒ほど町家の運営代行を行っています。

民泊と京町家では運営は違いますか?

全く違うということを最近身にしみて感じています。
海外のお客様が8割くらいでインバウンドという面は変わっていませんが、ある程度裕福でいろんなホテルを泊まり歩いている人たちばかりのため、以前と比べてお客様の質や単価、求めているサービスが異なります。
そのため、民泊ではなく「ホテル業だ」ということをとても実感していますね。

町家に特化している企業は珍しいですよね?

そうですね、町家専門でやっているのは京都では数社くらいで、マンションタイプのホテルなどが多いです。
やはりホテルの方が運営しやすいですし、町家1軒よりホテル1棟の方が売上も大きい。さらに町家は古い建物のため銀行の融資が下りないことから、買える人が限られているのが現状です。

ただ、単価はマンションタイプのホテルよりも高くなる傾向もあり、1部屋あたりの利益率は高くなり、
宿泊客も良いお客様が多くお泊まりになられます。

町家にしか出せない魅力なども凄く多くあり、やりがい・魅力・可能性は凄くあると感じており、町家に特化しております。

御社が運営する「宿ルKYOTO」シリーズはイチから企画されているのですか?

そうです。設計は設計会社に依頼していますが、丸投げするのではなく、例えば「寝る時はスマホを充電しながら横に置くからコンセントの位置は…」など、実際に利用するお客様の立場になり、細かいところまで設計士としっかり話しながら作り込んでいます。

京町家は築80~100年と歴史があるため、以前はどんな方が住んでいて、どんな商売やっていたかなど、落とし込めるところは落とし込み、その1軒にしかない特長を抽出しています。そのためオープンしている3棟の宿ルKYOTOシリーズは、すべてコンセプトが異なるのです。

イチから作り込むので大変ではありますが、単に京町家をキレイに改修するのではなく、きちんとコンセプトを決め特長を出していくことで、他にはない京町家の宿を作っています。

ちなみにシリーズ名は、やはり「宿」というのがわかることと、建物自体にいろんな想いが詰まっているので、その想いが“宿った”物件を作っていきたいというところから名付けました。

仕事の面白さや印象に残っていることはありますか?

マンションの一室をやっていた時は、20㎡という決められた空間の中でどうやるか、しかありませんでした。
例えば家具の配置やデザイン、天蓋つけてみるなど色々工夫をしましたが、他と差別化するのはとても困難。一方、今はイチから全て自分たちで手掛けられるので差別化がしやすいですね。

実際にオープンした際、最初からお客様の予約が入り稼働率が90%を超えていた時は、とてもやりがいを感じましたし、建物そのものをプロデュースできるのは面白いです。
また、サービスレベル的にホテルには勝てませんが、ホテルとは違う軸で戦えるのも楽しいところです。

どんなところが大変ですか?

町家ですと1軒ごとに立地や内装、アメニティも全てがバラバラのため、それらを全部把握してお客様に対応しなければならない管理面が大変です。

宿ルシリーズに関してはアメニティなども統一しコストも掛けていますが、運営代行ですとオーナーによっては、アメニティのコスト削りたい方や「絶対〇〇を入れたい」などのこだわりを持っている方もいるので統一できません。

また無人運営なので何か起きた時は駆け付けますが、スグに対応できないところが辛いところ。やはりお客様にとって本当に最高のサービスを提供できていないことが苦しいですね。

管理面は今後、どう改善されていく予定ですか?

いろんな外部ツールを調べましたが、ホテル仕様もしくは民泊仕様になっており、当社のような1棟貸しに合うものはありませんでした。そのため今はエンジニアの雇用を続け、管理システムをイチから作っているところ。

自社で開発することで一番効率化が図れますし、何よりミスを少なくしていくことができます。ゆくゆくは新しいビジネスとして、同じように管理システムで苦労している方にもツールを提供できたらなと思っています。

今後の目標について教えてください

事業を始めてから今辿り着いたのが、この事業は「人」だということです。
従業員のレベルを上げ、パーソナルなサービスをお客様に提供していき、世界中のお客様を笑顔で幸せにすることが当社のビジョン。それを実現するため、まず一流ホテルのような高いサービスを提供できる運営会社になりたいなと。

例えばある一流ホテルでは、10年前に同グループの別のホテルに泊まった方が利用した際、「○○様、おかえりなさいませ」と声を掛けたり、「以前いらっしゃった時は、紅茶をお召し上がりになられたので」と初めから紅茶を用意したり。こうしたパーソナルなサービスを提供することで、人って特別感を得られて感動するじゃないですか。それを無人運営の町家で実現することを目指しています。

今お客様を「WOW!」と思わせるような体験を提供していく「WOW STORY」というものを作っていて、お子さんが誕生日の時は、「Happy Birthday」と書かれた風船など部屋全体を飾り付けしたり、ハネムーンや記念日で来る方にはシャンパンを用意してあげたり。こうしたサービスは今では当社のスタンダードになっています。

他社さんからはスゴイと言われますが、僕らにとっては当たり前であり、更にプラスアルファで何ができるのかを突き詰めてやっています。非効率ではありますが、当社のカルチャーとして浸透することで勝てるのかなと。
空き家対策と地方創生、古民家再生という軸があるので、そこはブラさずに5年後には全国で管理物件1000件を超え、日本一・世界一を獲りに行きたいです。

これから民泊事業を始める方へメッセージ

やはり軽い気持ちでやらないほうがいいと本当に思いますね。24時間・365日休めないですし、トラブルが起きた時は対応しなければならないため、特に京町家は片手間ではできない事業です。

現に利益重視など軽い気持ちで考えて失敗した人もたくさん見てきていますし、それによりゲストさんに迷惑かけて嫌な思いをさせたり、近隣トラブルになったりすれば悪いイメージも蔓延してしまう。
逆に本当にお客様や海外の方とのふれあいが好きな方ならオススメします。やっただけ楽しいことがいっぱいありますので、そこに価値を感じてくれる方ならいいのかと。

感覚としては飲食店をオープンするのと同じで、立地が悪いところにオープンしてもすごく味が良かったりサービスが良かったら繁盛しますし、立地が良くてもサービス・味が悪かったらうまくいかなかったりする。
この事業もやはり好きじゃないとできない事業だなと改めて思うので、責任を持ってやってほしいですね。

<株式会社トマルバ概要>
住所:京都市下京区西七条東御前田町48 ロフト48 201号室
代表取締役社長 兼 CEO:芦野 貴大
事業内容:「宿ルKYOTO」ほか、町家・ホテルの企画/運営、管理システムの開発

関連情報

関連コンテンツ

Page Top