2018/06/05

管理業者に任せられることは?住宅宿泊事業者の業務内容について(2)

住宅宿泊事業者が担う業務について、こちらの記事「住宅宿泊事業者とは?役割と業務全体について」で解説した通り以下10項目です。 (1) 宿泊者の衛生の確保 (2) 宿泊者の安全の確保 (3) 外国人観光旅客である宿泊者の快適性および利便性の確保 (4) 宿泊者名の備付け等 (5) 周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明 (6) 苦情などへの対応 (7) 住宅宿泊仲介業者への委託 (8) 標識の掲示 (9) 都道府県知事への定期報告 (10) 住宅宿泊管理業者への委託 これらの業務の中で、管理業務の委託の有無によって自身で行う業務が異なります。 住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する場合は、住宅宿泊管理業者の管理の下で責任を担うことになる項目が(1)~(6)にあたります。 管理業務の委託の有無にかかわらず、住宅宿泊事業者が自身の責任で実施するべき業務である(7)~(9)については、こちらの記事「標識の掲示や都道府県への報告とは?住宅宿泊事業者の業務内容について」で解説しています。 この記事では、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する場合には、住宅宿泊管理業者の管理の下で責任を担うことになる(1)~(3)の項目についてそれぞれ確認していきます。

(1) 宿泊者の衛生の確保

宿泊者の衛生の確保を図るために、届出住宅について以下2つの措置が必要です。 ・居室の床面積を宿泊者1人当たり3.3平方メートル以上確保 ・定期的な清掃および換気 これらを必要とする主な趣旨は「感染症のリスクを低減すること」です。 清掃に入る時には、レジオネラ症などによる感染症を防ぐために加湿器や浴槽などの水回りを清潔に保つこと、ダニやカビ等が発生しないように換気を行うこと、寝具など直接人に接触するものは宿泊者毎に清潔なものに取り替えること等を行うことが必要です。

(2) 宿泊者の安全の確保

宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置として以下が定めされます。 a. 非常用照明器具の設置 b. 避難経路の表示 c. 火災そのほかの災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置 具体的な安全措置の内容は、非常用照明器具と防火区画等の措置があります。 防火区画とは、建築基準法に定められた区画で、火災などによる被害拡大を防ぐためのものです。 これらの措置は届出住宅の建て方や規模等によって必要となるものが異なり、大きくは以下4つの場合に分けられます。 [1]「一戸建て住宅、長屋」で、家主同居で宿泊室の床面積が50平方メートル以下の場合 [2]「一戸建て住宅、長屋」で、上記以外の場合 [3]「共同住宅、寄宿舎」で、家主同居で宿泊室の床面積が50平方メートル以下の場合 [4]「共同住宅、寄宿舎」で、上記以外の場合 [1][3](家主同居で宿泊室の床面積が50平方メートル以下)の場合には、非常用照明器具と防火区画等の措置は不要、 [2][4](上記以外)の場合には、非常用照明器具と防火区画等の措置が必要です。 これに追加して、[1][2]「一戸建て住宅、長屋」の場合は、非常用照明器具と防火区画等の措置の他に以下の措置が必要となります。 ・2階以上の各階における宿泊室の床面積の合計を100平方メートル以下にすること ・宿泊しよう部分の床面積の合計を200平方メートル未満とすること ・2階における宿泊者しよう部分の床面積の合計を300平方メートル未満とすること ・宿泊使用部分を3階以上の階に設けないこと ただし、これらそれぞれの項目について、定められた例外に該当する場合には必要はありません。 細かく措置基準が定められていますので、安全措置の詳細については「民泊の安全措置の手引き」で確認しましょう。 また、火災そのほかの災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置については、災害時における宿泊者の円滑かつ迅速な避難を確保するため、宿泊者に対して避難場所等に関する情報提供を行うこととされています。 避難経路の表示にあたっては、市町村の火災防条例により規制される地域もありますので、当該条例の規制内容を確認し、規定された事項を表示に盛り込むことが必要です。

(3) 外国人観光旅客である宿泊者の快適性および利便性の確保

宿泊者が外国人観光旅客であることも想定し、外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために、以下の4つの内容について外国語で案内表示することが義務付けられています。 [1] 届出住宅の設備の使用方法 [2] 移動のための交通手段に関する情報(最寄り駅などの利便施設への経路と利用可能な交通機関の情報) [3] 火災や地震などの災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内(消防署、警察署、医療機関、住宅宿泊管理業者への連絡方法の情報) これらの情報案内については、必要事項を記載した書面を居室に備える方法の他に、タブレット端末への表示等により必要に応じて閲覧できるようにする形でも対応可能です。 また、外国人宿泊者でも、宿泊者が日本語を指定した場合には外国語で案内等を行わなくても良いとされています。 昨今の民泊市場では外国人観光旅客の需要が高いことから、アメリカ、中国、韓国等、各国から宿泊予約が入ることが予想されます。 各国の外国人観光旅客は英語で対応できるケースが多いので、英語表記の案内は最低限用意しておくことをお勧めします。

住宅宿泊事業者として責任を持って業務を行いましょう。

いかがでしたでしょうか。住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する場合に、住宅宿泊管理業者の管理の下で責任を担う業務の(1)~(3)について説明いたしました。 ここで1つ注意したいことは、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託せず、住宅宿泊事業者自身が管理業務を行う場合には、これらも住宅宿泊事業者が行うべき業務になります。委託の有無の関わらず、住宅宿泊事業者としてどんな役割を与えられているのか、全体像を把握しておきましょう。 また、住宅宿泊事業者に関しては以下記事でも解説していますので併せて参考ください。 参考「住宅宿泊事業者とは?役割と業務全体について」 参考「標識の掲示や都道府県への報告とは?住宅宿泊事業者の業務内容について

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