2018/05/31

標識の掲示や都道府県への報告とは?住宅宿泊事業者の業務内容について

以前の記事「住宅宿泊事業者とは?役割と業務全体について」では、住宅宿泊事業者の役割と業務の全体について確認し、住宅宿泊事業者の業務の中でも、管理業務の委託の有無によって自身で行う業務が異なるという説明をしました。 この記事では、管理業務の委託の有無に関わらず、住宅宿泊事業者が自身の責任で実施するべき業務として定められている内容について確認します。

住宅宿泊事業者の業務について

住宅宿泊事業者が担う業務は以下10項目となり、この中で管理業務の委託の有無にかかわらず、住宅宿泊事業者が自身の責任で実施するべき業務は(7)(8)(9)にあたります。 (1) 宿泊者の衛生の確保 (2) 宿泊者の安全の確保 (3) 外国人観光旅客である宿泊者の快適性および利便性の確保 (4) 宿泊者名の備付け等 (5) 周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明 (6) 苦情などへの対応 (7) 住宅宿泊仲介業者への委託 (8) 標識の掲示 (9) 都道府県知事への定期報告 (10) 住宅宿泊管理業者への委託 それでは(7)(8)(9)の項目について、それぞれの内容を確認していきましょう。

(7) 住宅宿泊仲介業者への委託

住宅宿泊事業者は、「宿泊者に対する届出住宅における宿泊サービスの提供に係る契約の締結の代理または媒介を他人に委託するときは、住宅宿泊仲介業者または旅行業者に委託する」とされています。 住宅宿泊仲介業者と旅行業者は、宿泊者や旅行者に対して宿泊施設の仲介業を行う者を指します。 具体的には、民泊宿泊予約サイトなどが挙げられます。 要するに、住宅宿泊事業者である民泊ホストは、「宿泊予約など、宿泊サービスを提供するための契約を、自分で行うのではなく他人にお願いする場合には、正しく登録を受けた住宅宿泊仲介業者か旅行業者にお願いしなければならない」ということです。 恐らくほとんどの民泊ホストが、民泊運営の集客や管理を行うために民泊宿泊予約サイトなどへ登録を行うと思います。その際には、その仲介業者は正しく登録を受けている業者なのか?ということを必ず確認するようにしましょう。

(8) 標識の掲示

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければなりません。 簡単に言うと、「ここで民泊を行なっています」ということが届出住宅の近隣で生活している人たちに伝わるように、人目の付く場所に標識を掲げましょう、という内容です。 ここで注意したい点は、「公衆の見やすい場所」に掲げるという点です。 具体的には、一軒家であれば届出住宅の門扉や建物の正面の入り口となる玄関にあたります。 また、共同住宅などの場合は、個別の住戸に掲げることに加えて、共用のエントランスや集合ポストなど、公衆が認識しやす場所にも掲示が必要となります。共用部分に標識を掲載する際には、掲載が可能な場所について必ず管理組合に確認してください。 また、標識については法令で定められている様式を使用します。 様式は以下3種類のものが用意されており、民泊制度ポータルサイトの住宅宿泊事業法様式集より取得が可能です。 (1) 標識(第四号様式)・・・家主居住型で、家主が1~2時間以内の不在の場合 (2) 標識(第五号様式)・・・家主居住型で、(1)以外の場合 (3) 標識(第六号様式)・・・家主不在型の場合 この標識には、住宅宿泊事業の届出番号、届出年月日、住宅宿泊事業者や管理業者の緊急連絡先などの記載が必要です。自身の民泊スタイルに合った標識を使用し、正しく記載を行いましょう。

(9)都道府県知事への定期報告

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに以下事項を都道府県知事へ定期報告する必要があります。 ・届出住宅に人を宿泊させた日数 ・宿泊者数 ・延べ宿泊者数 ・国籍別宿泊者数の内訳 この定期報告は、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の15日までに、それぞれの月の前2ヶ月分の内容を、民泊制度運営システムを利用して報告することと定められています。 例えば、2月の報告では、12月と1月分の内容を2月15日までに報告するということです。 ここで注意したい点は、「届出住宅に人を宿泊させた日数」についてです。 宿泊日数をカウントする基準は、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までを1年間とし、正午から翌日の正午までを1日とすることが定められています。例えば、4月10日15時チェックイン、4月11日13時にチェックアウトの場合、実際の宿泊日数は1日となりますが、チェックアウトの時間が翌日の正午を過ぎているため、宿泊日数は2日とカウントされてしまいます。このように「正午を基準に宿泊日数がカウントされる」ということを把握しておきましょう。 日数のカウント方法については、こちらの記事「年間営業日数180日制限どう乗り越える!?民泊新法を上手に利用する方法」で説明していますので併せてご確認ください。

住宅宿泊事業者として責任を持って業務を行いましょう。

以上3つの項目が、管理業務の委託の有無にかかわらず、住宅宿泊事業者が自身の責任で実施するべき業務として定められている内容です。民泊新法の届出が完了した後も、標識の掲載や都道府県知事への定期報告などの運営管理があるということを必ず把握し、住宅宿泊事業者として責任を持って行いましょう。

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