合法民泊には「
民泊新法」「
旅館業法」「
特区民泊」の3種類があります。
2018年6月15日に施行される民泊新法に注目が集まっていますが、今まではハードルが高いと言われていた旅館業法や特区民泊について規制の緩和があり、どの方法を取っても従来に比べて合法民泊を行うための条件のハードルは下がっています。
「旅館業法や特区民泊は難しい」と最初から諦めてしまうのではなく、それぞれの特徴と異なるポイントを整理して、ご自身の民泊運営スタイルに合った方法を選択できるようにしましょう。
「民泊新法」「旅館業法」「特区民泊」異なるポイントは?
今回は「民泊新法」「旅館業法」「特区民泊」について、大きく異なる以下5つのポイントを比較していきたいと思います。
[1] 申請方法
[2] 年間営業日数の制限
[3] 最低宿泊日数
[4] 消防設備等の設置
[5] 不在時の管理業者への委託業務
[1] 申請方法
・民泊新法・・・都道府県へ届出
・旅館業法・・・都道府県へ許可申請
・特区民泊・・・都道府県へ認定申請
「合法民泊の中で最も手続きが易しいのは民泊新法」と言われる理由は、この申請方法にもあります。
「届出」とは義務としてその事実を知らせることであり、民泊新法は住宅宿泊事業の「届出」を行うことで民泊運営が可能です。
それに対して、旅館業法の「許可」とは、法令によって禁止されている行為を、特定の場合・人・場所などについて合法化することです。本来は禁止されている行為に対して「許可」をもらうという考え方なので、民泊新法の届出に比べて旅館業法の「許可」の方が高いハードルであることをご理解いただけると思います。
また、特区民泊の「認定」とは、公の機関がある事項の事実の確認を行うことです。特区民泊が「指定された区域で限定されているものである」ということを考えると、特区民泊の「認定」を受けると想像しやすいのではないでしょうか。
これらの申請の難易度をまとめると、
旅館業法の許可>特区民泊の認定>民泊新法の届出という順番になります。
もちろん、一番易しい方法と思われる民泊新法の届出においても、届出書と一緒に様々な添付書類が必要です。どの方法を取る場合も、責任を持って正しい手続きを行いましょう。
[2] 年間営業日数の制限
・民泊新法・・・1住宅あたり年間180日以内
・旅館業法・・・制限なし
・特区民泊・・・制限なし
この年間営業日数の制限が、民泊新法において最も注目を集めている部分ではないでしょうか。
民泊新法を利用する場合、家主居住型であっても家主不在型であっても、この年間営業日数の制限を避けることはできません。
民泊新法は必ず180日の制限がかかることを理解しておきましょう。
それに対して、旅館業法と特区民泊では年間営業日数の制限はありません。
民泊運営で利益を上げることを考えていらっしゃる方であれば、年間営業日数の制限を受けない旅館業法と特区民泊を検討しても良いでしょう。
[3] 最低宿泊日数
・民泊新法・・・制限なし
・旅館業法・・・制限なし
・特区民泊・・・2泊3日以上
民泊新法、旅館業法は制限がないのに対して、
特区民泊の場合には最低宿泊日数は2泊3日以上と定められています。特区民泊では1泊のみといった単発的な宿泊は受け付けられませんので注意しましょう。
この特区民泊の最低宿泊日数について、従来は6泊7日以上と定められていたものが2泊3日以上にまで緩和された経緯があります。特区民泊が可能な区域でも、各自治体によって条例が定められていますので、特区民泊を諦める前に一度ご自身が保有する物件がある区域の条例を確認してみましょう。
[4] 消防設備等の設置
・民泊新法・・・原則要
・旅館業法・・・要
・特区民泊・・・要
自動火災報知器などの消防設備の設置は、
民泊新法・旅館業法・特区民泊のどの場合においても必要です。
ただし、民泊新法では家主同居で宿泊室の面積が小さい場合には不要とされています。
消防設備は通常の住宅などには設置されていないケースが多く、一戸建てや比較的小規模なマンションなどの共同住宅を利用して民泊運営を行う場合、民泊のために新たに消防設備の設置が必要となる可能性が非常に高いです。
民泊新法では消防設備を簡易的に済ませられるケースもありますので、民泊新法の消防設備についてはこちらの記事「
届出住宅の消防設備は何が必要?民泊新法の消防設備について」を併せてご確認ください。
[5]不在時の管理業者への委託業務
・民泊新法・・・規定あり
・旅館業法・・・規定なし
・特区民泊・・・規定なし
民泊新法では「原則、住宅宿泊事業者は住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する」という義務が定められています。これは旅館業法と特区民泊にはない、民泊新法の大きな特徴の1つです。
合法民泊の中でも比較的易しい手続きで可能な民泊新法ですが、住宅宿泊事業者だけで民泊運営を行えるわけではなく、管理業務の委託が必要であるということを忘れないようにしましょう。
但し、住宅宿泊事業者が自ら管理業務を行い、管理業務の委託をしなくても良いケースもあります。管理業務の委託については、こちらの記事「
民泊新法における「住宅宿泊管理業者」とは」で詳しく説明していますので併せてご確認ください。
「民泊新法」「旅館業法」「特区民泊」それぞれの特徴を理解して方法を選択しましょう。
いかがでしたでしょうか。新しく施行される民泊新法に注目が集まっていますが、民泊新法施行に伴い旅館業法の規制の緩和があったり、旅館業法と特区民泊も従来に比べて規制が緩和されつつあります。今まではハードルが高かった旅館業法や特区民泊ですが、それぞれのメリット・デメリットを把握して、自分の民泊運営のスタイルに合った選択をしましょう。
また、「民泊新法」「旅館業法」「特区民泊」それぞれについて以下記事にて解説していますので、こちらも併せて参考にしてください。
参考「
今が合法民泊を始めるチャンス!民泊新法「住宅宿泊事業法」とは」
参考「
民泊新法だけじゃない!今、注目すべき旅館業法の規制緩和について」
参考「
国家戦略地区とは?合法民泊「特区民泊」について」