2018/07/21

京都の民泊プレイヤー事例 02:民泊ゲストハウス

取材協力:京都北の隠れ宿 笑-emi- 山田和人様

ゲストハウスを始めたきっかけとは?

グループ会社に当たる不動産会社が伝統的建造物の京町屋や茶室を備えた物件を所有しており、空室・空家対策とは別に、物件を有効活用し、国内海外問わずたくさんの人に、伝統文化を発信、体験、情報を共有し、おもてなしをしたいという想いと、インバウンド需要に注目が集まる背景もあり、宿をはじめるきっかけとなりました。

民泊運営において、現在のエリアを選ばれた理由はなんですか?

京都市は、見るだけでなく、衣・食・住すべておいて、伝統文化や歴史的背景を体験できる、体感できる場所です。世界から注目され観光客が集まる人気観光都市であり、その環境の中で、伝統文化の発信につながる魅力ある物件に巡りあえたのが一番の理由です。物件の立地については、駅やバス停から近く、ゲストが道に迷わずに簡単に到着できて近隣住民にご迷惑がかからない立地を選びました。  

どんな方が利用しているのですか?

おひとり様から一棟貸切で30名未満の団体様までご希望によって対応していますので、国内海外問わず一人旅・ご家族・小グループ旅行・お仕事・団体旅行など、さまざまな用途で利用していただいております。少人数のご利用は、お仕事やおひとりでの観光巡りをされる方が多く、日本の方が9割、貸切といった団体のご利用は、5割は海外の方です。京町屋の物件に関しましては、京都の暮らしを体験されたい海外のゲストで9割を占めています。

ゲストハウスを運営する上で大切にしていることは?

ゲストには、自分の家にいるようにストレスのない空間の中で過ごしていただきたいと思っておりますので、当たり前のことですが、安心感を与える清潔面においては特に気をつけております。京都市は 許可を取得し正当に営業している施設があったとしても、 無許可営業といったマナーを守らない違法民泊も存在し、報道では民泊の悪い面ばかりクローズアップされ、地元住民には悪い印象が定着しています。ですので、運営するにあたり密接な関係である近隣住民にご迷惑をおかけしないことを前提として、ゲストには事前の連絡のなかで、道案内・ハウスルールをご理解していただき、マナー違反・騒音問題を防げる体制をとっています。

どんなことがゲストに喜ばれますか?

チェックイン時でのおもてなしとして、京都らしく抹茶を目の前で点てる抹茶のウェルカムドリンク、暑い時期にはウェルカムかき氷が好評です。施設内にある茶室では、はじめての方を対象とした茶道体験や着物着付け体験をしており、興味を持たれている方も多く、写真撮影をしたりと思い出をつくられております。海外の方からは、レストランの予約を代わりにとってほしい、観光コースを教えてほしいとの声がよくありますので、要望にはすぐに対応できるようにし、観光のインフォメーションコーナーも整えました。

ゲストハウスを運営をしてきた中で大変だったことや苦労したことを教えてください。

2015年に民泊をスタートし、当初は10件以上運営しておりました。ゲストとのメール対応や清掃に手がまわらずに清掃業者やメール代行業者に任せる場面もありました。名の知れた代行業者に信用をもとに委託しましたが、さらに下請けの業者に依頼をするなどの行為があり、清掃がされていない、連絡が放置されていた等で、代行業者を利用するリスクを経験しました。コントロールができないところでゲストにご迷惑をかけるのは本意ではないので、それ以降は代行業者に任せずに自分たちのみで運営をすることにしています。しっかり運営をされている代行業者もありますが、任せるだけでなく定期的な状況の確認は大切だと思います。

ゲストハウス運営への想いや考えを教えてください。

無許可営業だけでなく、許可済みでもゲストが起こす騒音問題等を放置して地元住民にご迷惑にお掛けしているホストも存在し、マイナスイメージを与える同業者がいることに残念な気持ちをもっております。利益だけを追求するだけでなく地域住民とも良き関係を築き、ゲストに良心的なおもてなしを提供するホストが増えてほしいと思います。どんな時でもゲスト第一で頑張って行きたいです。

あなたにとってゲストハウス運営の「成功」は何ですか。ご自身の経験を踏まえて、運営を成功させるコツを教えてください。

京都ではホテル・ゲストハウスや京町屋などの簡易宿所が乱立しています。予約サイトなどで掲載れている写真や部屋・設備・食事等はよく似たもので埋もれています。この一年で、半年後の稼働率は予測ができない状況だと感じております。変化が激しい中、 他にはない差別化を提供し続け、継続していくことが成功だと思います。

今後の目標について教えてください。

たくさんの方々に知っていただき、利用していただくこと、京都の魅力の一部になることが目標です。 私たちの宿だからできる、ゲストへ温かみのあるおもてなしを提供し続けていきたいです。宿泊利用だけでなく、茶室・和室スペースを活用して、茶道や着物を体験できる場として、またイベント開催や貸しスペースで利用者を募り、この場でしか体験できない魅力を発信し、その中で人と人が繋がりを広げることが出来ればと思っています。

これから民泊事業を始める方へメッセージをお願いします。

ゲストと交流の一環として民泊をされているホストや、空家を転貸して利益を求められるホスト、清掃や鍵・荷物の受け渡し等運営代行業など、さまざまな需要が生まれて事業の幅も広がっていますが、提供する分野が違っても、最終的に利用をしてくださるお客様に、各業種・各事業者様のおもてなしが伝わり、日本のホスピタリティー溢れるおもてなし文化が広がればいいなと願っています。 <京都北の隠れ宿 笑-emi- 概要> 住所:〒603-8149 京都府京都市北区小山南上総町2−4 電話番号:075-406-7771(10:00~19:00) 営業時間: CHECK-IN 13:00-19:00 CHECK-OUT 10:00

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