合法民泊の1つ「特区民泊」とは、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度である「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」のことです。
特区民泊は、民泊新法のような年間営業日数の制限がなく、旅館業法に比べて民泊の認定を受けやすいものにあたります。
特区民泊とはどのような内容で、どのような場所で特区民泊を行うことが可能なのでしょうか?
特区民泊の特徴や指定されている区域について確認していきましょう。
合法民泊「特区民泊」とは?
合法民泊には「民泊新法」「旅館業法」「特区民泊」の3つの種類があります。
特区民泊は、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例で、国家戦略特区という国で特別に指定されている区域において、特定認定を受けて民泊を行う方法です。
国家戦略特区とは、産業の国際競争力を高めることや国の成長戦略を進めることを目的に、規制や制度の改革を実行することが認められている区域を指します。
特区民泊の大きな特徴としては、
・申告方法は、都道府県に対する認定申請
・厳しい施設要件やフロントに従業員の常駐は必要なし
・年間営業日数の制限はないが、最低宿泊日数2泊3日以上の滞在が条件
が挙げられます。
特区民泊の最低宿泊日数について従来は6泊7日と定められており、これが一つの大きなハードルになっていましたが、6泊7日の最低宿泊日数が2泊3日に緩和されたことで特区民泊がより利用しやすくなりました。
「民泊新法」「旅館業法」「特区民泊」の3つの中で、最も易しい条件で届出が可能であるのは「民泊新法」ですが、年間営業日数が180日に制限されるという大きなデメリットがあります。
それに対して「旅館業法」「特区民泊」であれば年間営業日数に制限はなく、指定された区域内であれば、「旅館業法」に比べて「特区民泊」の方が易しい条件で認定を受けることが可能です。
特区民泊で指定されている地域とは?
それでは、特区民泊が可能な区域とはどのような場所があるのでしょうか?
内閣総理大臣の認定を受け、国家戦略特区に指定されている区域は以下の通りです。
・東京圏(東京都、神奈川県、千葉県成田市、千葉県千葉市)
・関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)
・宮城県仙台市
・秋田県仙北市
・新潟県新潟市
・愛知県
・兵庫県養父市
・広島県
・愛媛県今治市
・福岡県福岡市、福岡県北九州市
・沖縄県
これらの指定区域の中で、特区民泊条例を制定している自治体に限り、特区民泊が可能です。
「国家戦略特区であれば特区民泊ができる」という訳ではなく、国家戦略特区の中で特区民泊の条例が定められている自治体で可能であるという点には十分注意しましょう。
国家戦略特区の中で特区民泊が可能な区域は、東京都大田区、大阪府、大阪市、福岡県北九州市、新潟県新潟市、千葉県千葉市が挙げられます。
東京は大田区のみですが、観光地として人気のある大阪は特区民泊に力を入れており、特区民泊が可能な地域が多いです。
各自治体によって特区民泊の条例の内容が異なりますので、ご自身の保有する物件の自治体の条例を必ず確認しましょう。
各自治体の条例を確認して、一番良い方法で合法民泊を運営しましょう。
いかがでしたでしょうか。民泊新法のような年間営業日数の制限を受けることなく、旅館業法よりも比較的易しい手続きで合法民泊が可能なのが特区民泊です。
「旅館業法と特区民泊はハードルが高い」という従来のイメージが強い印象がありますが、民泊新法の施行に伴い、旅館業法や特区民泊の規制が緩和されていることもあるので、一度各自治体の条例を確認してみましょう。