2018/07/09

【京都で民泊経営!】条例・規制・新法で必ず押さえたい4つのポイント

2017年6月の国会で「住宅宿泊事業法(以降、民泊新法)」が2018年6月15日に施行される事が決まりました。

2020年東京オリンピック開催を控え、海外からの観光客が増加。日本全体で宿泊施設の不足が問題となっています。

「旅館業法」では、ホテル・旅館・簡易宿所・下宿の営業に関するルールを定めています。一方、「民泊新法」では、「旅館業法」でカバーされていない住宅での宿泊事業に関するルールを詳細に定めています。 この記事では… ・民泊新法に従い住宅宿泊事業者として ・旅行業法に従い簡易宿所営業として 京都で「民泊経営」をスタートするための手続きや、ノウハウに関して詳しく説明していきます。

【ポイント1】京都で民泊経営して、実際のところビジネスとして成立するのか?

インバウンド需要から見た京都の可能性

2015年時点で、京都府における外国人の延べ宿泊者数は約457.8万泊となっており、前年と比較して39.1%増加しました。 出典:宿泊旅行統計調査(国土交通省観光庁) http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf 京都を訪れる観光客の多くが、寺社仏閣などの観光を目的としており、平成28年に行われた「京都観光総合調査」では、実に96.9%の訪日外国人が京都観光に満足したという驚異的な結果が出ています。 さらに92.6%の外国人観光客が「京都を再び訪れたい」という再来訪の意思をもっていることから、今後も外国人の訪問が期待できるエリアであることは間違いありません。 出典:平成 28 年 京都観光総合調査(京都市 産業観光局観光MICE推進室) http://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/cmsfiles/contents/0000222/222031/kyoto.pdf 一方で、外国人観光客に対して実施された「京都で最も残念だったこと」に関する調査では「時間が足りなかったこと」という項目が24.2%で1位となっており、京都にもっと長い時間滞在したいという明確なニーズが存在しています。 結論:すでに外国人に大人気の京都ですが、インバウンド需要からみた京都の民泊ビジネスのポテンシャルは、まだまだ高いと言えるでしょう。

国内旅行需要から見た京都の可能性

2016年、京都府における日本人の延べ宿泊者数は1199.1万泊となっており、2015年の1197.5万泊からの微増となっています。 出典:施設所在地、宿泊施設タイプ別延べ宿泊者数(日本旅行業協会) https://www.jata-net.or.jp/data/stats/2016/04.html https://www.jata-net.or.jp/data/stats/2017/04.html 平成29年5月に実施された「外国人客宿泊状況調査」では京都市内の 36ホテル(市内ホテル客室数の約4割をカバー)において、客室稼働率が92.0%に達しました。

今後も外国人観光客の増加が続くと、その影響を受けて日本人観光客がホテルの予約を確保できないケースも増えてくるでしょう。

出典:「平成29年(2017年)5月外国人客宿泊状況調査」について 京都市観光協会 http://hellokcb.or.jp/info/pdf/03-20170703-kanko.pdf

結論:外国人観光客の増加により、その影響を受ける形で日本人観光客の民泊利用が京都で増える可能性あり。

宿泊施設の供給面から見た京都の可能性

2015年時点で、東京都や大阪府のシティホテルの稼働率が約85%となっています。繁忙期などではホテルだけで宿泊需要を賄えることが困難となってきています。実際に東京都や大阪府では簡易宿所の稼働率が、約60%に上がっています。 出典:都道府県別宿泊施設タイプ別客室稼働率(平成27年1月〜12月(確定値)) http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf

空き家対策として見た京都の可能性

京都府の外国人述べ宿泊数は457万人泊で、都道府県中4位とかなり高い数値となっています。伸び率も39.1%となっており、今後も外国人観光客が増えることが予想されるため、簡易宿所について需要拡大が見込めます。 また、京都府の賃貸住宅の空室率は12.68%となっています。賃貸住宅の新たな活用術として、空室になった場合に「民泊」として稼働させて、借主が見つかったら「賃貸」に戻すというようなハイブリット型の収益構造を作り出せば、所有不動産の収益性を高めることが可能となります。 ただし、京都府や京都市が民泊新法で定める独自ルールにより、京都府内の多くのエリアにおいて、住居専用地域での民泊新法に基づく民泊事業運営に厳しい制限を設けています。

これらの地域では簡易宿所としての民泊運営が必須となりますので、ご自身が民泊運営を考えている地域のルールを事前にしっかりと確認するようにしましょう。

出典:総務省「第65回 日本統計年鑑 平成28年」・住宅の建て方別住宅数(都道府県別)(平成25年) http://www.stat.go.jp/naruhodo/c1data/16_01_stt.html http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf

参考資料: http://www.pref.kyoto.jp/seikatsu/news/documents/jyourei.pdf

 1泊10泊15泊30泊
宿泊料¥7,600¥76,000¥114,000¥228,000
変動費用-¥1,748-¥17,480-¥26,220-¥52,440
OTA手数料 (3%)-¥228-¥2,280-¥3,420-¥6,840
代行手数料 (20%)-¥1,520-¥15,200-¥22,800-¥45,600
固定費用-¥14,000-¥14,000-¥14,000-¥14,000
水道光熱費-¥10,000-¥10,000-¥10,000-¥10,000
アメニティ-¥1,000-¥1,000-¥1,000-¥1,000
Wifi-¥3,000-¥3,000-¥3,000-¥3,000
清掃費ゲスト負担ゲスト負担ゲスト負担ゲスト負担
利益-¥8,148¥44,520¥73,780¥161,560
京都では1LDKの平均家賃が73,000円(2018年7月9日時点)となっていますので、民泊を通じて1泊7,600円で貸し出した場合、月の半分である15泊分の予約を確保できれば、家賃収入以上に収益をあげることができます。 なお、上記の収益モデルでは手堅く見積もるために一泊単価を7,600円としています。ただし、韓国・海外からの旅行者は2人もしくは多人数で泊まることが多いため、複数人数で宿泊できるベッド数を用意することで、10,000円 / 泊を超えている民泊事業者も数多くいます。 複数人数での旅行者をうまく取りこむことで、さらに高い収益性を狙うことも十分に可能です。

参考サイト: https://www.homes.co.jp/chintai/kyoto/city/price/

【ポイント2】京都で民泊経営をスタートするには?始めるための条件、必要な手続きをご紹介

ここでは、京都市を例に民泊を始めるために必要な手続きや条件について解説していきます。

京都市における、主な民泊制度の概要

京都市で民泊事業を実施する場合は、京都市の定める条例・独自ルールに従い運営する必要があります。ここでは、京都市が定める独自のルールを簡単にご紹介いたします。
項目旅館業法
(簡易宿所)
住宅宿泊事業法
(住宅宿泊事業者)
許認可等許可届出
申請先京都市保健福祉局医療衛生推進室 医療衛生センター(旅館業担当)京都市保健福祉局医療衛生推進室 医療衛生センター(住宅宿泊事業担当)
住居専用地域での営業不可
制限あり
※3/16正午〜翌年1/15正午の間は営業不可
営業日数上限なし180日(泊)が上限
手数料26,400円不要
床面積客室の延床面積は,33平米(宿泊者の数を10人未満とする場合に は,3.3平米に当該宿泊者の数を乗じて得た面積)以上であること。3.3㎡/人 以上の居室
フロント必要ない場合もあり
不要
自動火災報知器所管の消防署に消防法令適合通知書交付申請を行います所管の消防署に消防法令適合通知書交付申請を行います
参考サイト: http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000177/177773/kaigyotebiki.pdf http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000234/234789/shiryou1.pdf

その他、考慮すべき法律は?

民泊事業を行うにあたり、旅行業法、住宅宿泊事業法以外にも押さえておきたい法律は次の5つになります。

  • 消防法 民泊もホテル・旅館と同じ消防設備基準が必要です
  • 食品衛生法 民泊施設で食事を提供する際は届出が必要になります
  • 水質汚濁防止法 民泊事業者が汚水を処理する場合、水質汚濁防止法に基づく届出が必要
  • 下水道法 民泊事業者の施設が下水道法の届出対象(旅館業の用に供するちゅう房施設、洗濯施設、入浴施設)となる場合があります
  • 建築基準法 建物自体の用途変更が必要になる場合があります
  • 都市計画法 用途地域によっては民泊事業が行えない場合もあります

民泊事業を行うにあたり、様々な法律を考慮し、届出などを行う必要があります。抜け漏れがないように、しっかりと調査して手続きを実施するようにしてください。

民泊事業はどの制度で運営すべきか?

民泊需要がある地域場合の月々の収益性について 高  民泊 > マンスリー > 通常賃貸  低 上記のような順位になることが多いです。 民泊需要が見込める地域で、民泊事業を行う場合は、最低宿泊日数の制限や年間宿泊上限日数がない旅館業法に則して事業運営するのが最良の選択となりますが、場所によっては、住宅専用地域で民泊事業を行えないなどの制限があります。

住居専用地域においても「住宅宿泊事業法(民泊新法)」に即して民泊事業を行うことが可能なのですが、京都市においては旅行需要の最も少ない冬以外の宿泊が認められていません。旅館業法による簡易宿所登録ができない場合は、民泊事業による収益化は多くは望めないと考えられます。

民泊を運営するにあたり、どの制度を適応するかによって対応する法律が変わり、それぞれ監督官庁も変わります。物件の状況を確認し判断するためにも、専門家に相談しながら民泊事業を進めるのが良いでしょう。

    【ポイント3】民泊を開始後、効率的に収益性を上げる方法!

    今後の民泊需要や法律関連の情報をお伝えしてきましたが、実際に民泊事業をスタートしてからの収益を上げる為のノウハウを提供します。 収益を上げる為の5大要素
    • 素早い返信、コミュニケーション
    • 写真の質、枚数
    • 必要な設備(Wifiなど)
    • 口コミを集める
    • 何より清潔さ

    素早い返信、コミュニケーション

    民泊では予約からチェックアウトまで通常のホテルと違い、宿泊者とのやりとりが10回程度発生するのが一般的です。

    宿泊者が物件オーナーへ連絡(特に質問)をした際に、返信が遅かったり返信をしていないと、その後のレビューに悪影響しますので注意をはらう必要があります。

    宿泊客が何か聞きたいことがある際に、一般的なホテルの客室には通常フロントへ繋がる電話があります。電話をすればホテルのスタッフがいつでも対応してくれますが、フロントへ電話しても誰も出なかったら不信感を抱き「このホテルはダメだ」となります。 民泊の場合も同様のことが考えられます。宿泊者から問い合わせがあったにも関わらず、連絡が遅かったり、返事がないとなれば不満に繋がることは言うまでもありません。 すぐに応対してくれるホテルであれば、満足度は高まります。宿泊者からの評価を高めるためには、問い合わせに対する返信の速さは重要となりますので、気をつけたいところです。

    写真の質、枚数

    写真の枚数は宿泊者の予約において大きな影響を及ぼします。 重要なポイントは以下の3点です。
    • 施設写真は30枚以上
    • 写真の解像度を高くする
    • アピールポイントを必ず挿入する
    宿泊者が宿泊先の選択において、宿泊者自身がそのホテルにいることを想像できるかが鍵となるとのデータをエクスペディア社が発表しています。 ホテル選択では、宿泊価格が意思決定に大きく影響するのはもちろんですが、同様に写真でみた宿泊施設の内覧や雰囲気も意思決定に貢献してきます。ご自身に置き換えてみるとなんとなく想像できるはずです。 以上のことから施設写真ページを掲載するときは、やたらに写真を挿入するのではなく、ユーザー目線に立ち、どの写真をどういった順番で表示させたら、宿泊者が「泊まりたい」と思うかを考えることが必要です。 また、宿泊者がイメージできるくらいの写真の解像度に設定することも重要です。

    必要な設備(WiFiなど)

    wifiは必須の備品です!多くの訪日外国人は、ネット環境に制限がありますので、Wifi設備を整えることは重要です。

    宿泊施設のポテンシャルに加えて、wifiの有無により予約率が変わってきますので、必ず設置をしましょう。据え置き型wifiルーターを設置する方がいらっしゃいますが、持ち運びができるポケットwifiがおすすめです。

    訪日外国人は、宿泊施設で使うよりも外でネットを使用する頻度の方が圧倒的に高いからです。

    wifiを持ち歩き出来るということは、宿泊者にとって大きなメリットになります。その他には、iPhoneやアンドロイドのスマートフォン用の充電器を設置しておくと良いでしょう。 訪日外国人観光客が自国で使っている充電器のプラグの形状が異なり日本では対応していないケースが多くみられます。その際にスマートフォンの充電器があれば、大変便利で喜ばれます。 問題点は、充電器などはなくなりやすい物の一つになりますので、紛失防止のために対策を打っておく必要があるでしょう。

    口コミを集める

    各社ホテル予約サイトには、多くの施設が掲載されています。その中で、予約を獲得していくためには良い評価の口コミを集めることがとても重要となります。

    例えば、同レベルの「口コミが多く、評価が高いホテル」と「口コミが少ないホテル」があったとします。ご自身に置き換えたら、どちらへ予約しますでしょうか?

    極端な例だとは思いますが、口コミはユーザーの声が反映されていますので、宿泊者にとってもっとも参考となる情報源です。

    情報が氾濫している時代だからこそ、施設側からの一方通行の施設紹介よりも、利用者からの方が情報の信憑性が高いといえます。

    実際にどのようにして口コミを集めるのか? 1.宿泊費を落として予約数を増やす 2.チェックアウト後に口コミの書き込みを促す この流れが一番手っ取り早いです。

    運営当初は価格を下げることで収益が落ちてしまいますが、その反面、予約を数多く取ることができる為、口コミの数も多く獲得できる可能性が格段に上がります。口コミの数が多くなれば、予約率も徐々に上がっていきます。

    長期的に考えた場合、口コミの効果はどんどん高まりますので、民泊施設オープン時の広告宣伝費として考えた方が良いでしょう。

    宿泊者の中には、なかなか口コミを書いてくれないユーザーもいますので、その様な場合には、手書きで残せる口コミシートを宿泊施設に設置しておくことがオススメです。

    口コミシートの数がある程度集まってきたら、カメラで口コミシートを撮影して、施設写真の中に追加するのが良いでしょう。口コミと同等の効果とはいかないかもしれないですが、他の施設との差別化ポイントとなってくることでしょう。

    何より清潔さ

    物件の清潔さは言うまでもなく、とても重要です。
    • 髪の毛の付着
    • 水回りの水垢
    この2点がよくあるクレームです。 施設が汚いことは最悪の評価につながります。施設全体の評価を落とし兼ねませんので十分に注意を払いたいところです。注意していても、髪の毛が落ちていたり、静電気で髪がリネンに付着してしまっていたなどが原因でクレームになってしまうこともあります。

    また、使用されていないと思っていた食器が、実は前の宿泊者が使用しており、気が付かず、クレームをもらったというケースも度々発生します。

    確認不足と言えばそれまでですが、よくある事例ですので十分注意したいところです。

    【ポイント4】京都の民泊運用の事例

    京都の民泊・宿泊施設

    関連コンテンツ

    Page Top